リーザー（モーゼル）

　当地を代表するシュロス・リーザー醸造所は、ヘルマン・フライヘル・フォン・ショルレマー男爵（Hermann Freiherr von Schorlemer）によって1904年に設立され、当初は名醸として名高かった。しかし1970年に醸造所が売りに出されてからは転売が繰り返され質も落ちていった。シュロス（洋館）には男爵未亡人が1990年に92歳で亡くなるまで住んでいた。
　1992年に、デュッセルドルフの実業家が醸造所を入手した際に、復活を期して当時若干26歳のトマス・ハーク氏を指名した。彼は、フリッツ・ハーク醸造所のヴィルヘルム・ハーク氏の長男で、ガイゼンハイム醸造学校を卒業後、たまたま同じショルレマー男爵が設立したゼーリヒのベルト・ジモン醸造所で１年間ケラーマイスターを務めていたのでった。なお、本家フリッツ・ハーク醸造所は、トマス氏の弟が継いでいる。
　所有する畑は、リーザー村に持つ最上級畑「リーザー・ニーダーベルク・ヘルデン Lieser Niederberg Helden」と、父から譲られたブラウネベルクのJuffer Sonnenuhr、Juffer以外は、グーツワインにしている。これら以外に所有する畑は、グラーハのDomprobstやHimmelreichなどのようだ。いずれにせよリースリング100％である。

リーザー・ニーダーベルク・ヘルデン・リースリング・シュペトレーゼ 1997 Lieser Niederberg Helden Riesling Spätlese 1997: シュロス・リーザー醸造所（Thomas Haag、Weingut Schloss Lieser、ゴーミヨ４房）。9.0％ 750ml 2363円。
シュロス・リーザーの所在地の畑名ワインとして土浦鈴木屋でGet。しかし新しいヴィンテージのは無くて（ラベルも少し汚れたのばかりだった）、苦手なモーゼル・リースリング古酒11年ものだ。覚悟して開栓したが、しかしこれは特に問題なし。香り・味とも古臭さを感じない。
リーザー・ニーダーベルク・ヘルデン・リースリング・アウスレーゼ 2004 Lieser Niederberg Helden Riesling Auslese 2004: シュロス・リーザー醸造所。7.0％ 375ml 4032円。
ラベル表示のAusleseの隣に＊が２つついている。モーゼルらしい酸味豊かな甘口。
シュロス・リーザー・リースリング・カビネット 2003 Schloss Lieser Riesling Kabinett 2003: シュロス・リーザー醸造所のグーツワインである。9.5％　750ml 2080円。
グーツワインとは畑名ではなく醸造所名をワイン名とするもので、結構見かけるものだが、同醸造所はその草分け的存在らしい。
また、このワインはリースリング100％でその糖度は95エクスレと、モーゼルのアウスレーゼ規定83エクスレを大幅に上回りながら、２段階格下のカビネットでリリースしたものである。
シュロス・リーザー・リースリング・カビネット 2010 Schloss Lieser Riesling Kabinett 2010: シュロス・リーザー醸造所トマス・ハーク。8.0％　750ml 1980円。スクリューキャップ。
いつのまにか「トマス・ハーク」の名がラベル表示に入るようになった。ゴーミヨ2012年版で当ワインが88点の高得点を獲得している。