ハイデルベルク 聖霊教会（Heiliggeistkirche）
1954年12月4日、ここでフルトヴェングラーの葬儀が行われた（ベルクフリートホフに埋葬）。オイゲン・ヨッフム指揮ベルリン・フィルがモーツァルト「フリーメイソン葬送音楽」を演奏した。
この教会は1398年から1515年にかけて建造された。
宗教改革の際、プファルツ選帝侯フリードリヒ２世（1544-56）およびオットー・ハインリヒ（1556-59）は領内をルター派に改宗させた。続くフリードリヒ３世（1559-76）は、さらにカルヴァン派に改宗した。1563年にはカルヴァン派信者の指針となる「ハイデルベルク信仰問答」が編纂出版された。当教会もそれに従った。
三十年戦争の際には、ここに収蔵されていた「パラティーナ文書」と呼ばれる貴重な文書が、皇帝カトリック側の将軍ティリによって持ち去られた。この文書はのちにヴァティカンに収蔵された。（19世紀にそのほんの一部は返還されハイデルベルク大学図書館に収蔵されている。）またプファルツ継承戦争の際には、フランス兵により55もの選帝侯の墓が破壊された。（難を逃れたのはルプレヒト３世と妃エリーザベトの墓のみ。）
選帝侯ヨハン・ヴィルヘルム（1690-1716）が再びカトリック化しようと試みたが、プロテスタント側が反対した結果、1706年に当教会の聖壇と本陣の間には隔壁が設けられ、両派が分けて教会を使用することになった。1719年には選帝侯カール・フィリップ（1716-42）が隔壁を取り除きカトリック専用にしようとしたため、一触即発の危機に陥った。皇帝らの干渉を受けて再び隔壁が設けられたが、カール・フィリップは1720年にハイデルベルクを捨ててマンハイムに遷都することになる。
結局、隔壁が取り除かれたのは1936年のことで、プロテスタントのバーデン地方教会の所有となった。
この聖霊教会に対し、ハイデルベルクの対抗宗教改革＝カトリックの教会として1749年に建てられたのが、大学裏手にあるイェズイーテン教会である。
