モーツァルト没後200年記念「レクイエム」
サー・ゲオルク・ショルティ指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン国立歌劇場合唱団
アーリン・オージェ(S)、チェチリア・バルトリ(A)、ヴィンソン・コウル(T)、ルネ・パーペ(B)
場所：ウィーン、シュテファン大聖堂 司式：ハンス・ヘルマン・グローエル枢機卿
この式の模様は、NHK-BS2で生中継された。私は生中継は見なかったが、再放送の録画をエアチェックして所持していた。
その後入手したCDでは、ドイツ語の祈りの部分がかなりカットされているが、ラテン語部分は全部収録されており、歌詞カードで対訳もある。
さらにずっと後になって輸入盤DVDを入手した。衛星中継と同じでカットはないようだ。
以下、その映像とCDをもとに、この日の式次第をまとめてみた。
モーツァルトの没後200年記念の記録としてだけでなく、第２ヴァチカン公会議以後のカトリックのミサ式次第を知るのにも、最高の音楽映像記録だからである。
第２ヴァチカン公会議における重要な変更は、「ミサにおいて各国語を使用することを認める」「Dies iraeは使用しない」といったことがある。後者は、今回のモーツァルト没後200年の「レクイエム」演奏に大きな影響がある。「Dies irae」なしのモツレクなど考えられないからである。よって、これが演奏される部分は、公会議の規定からすればイレギュラーな状態なのである。
第１部 入祭の儀
まず鐘のなる中、聖職者たちが入場。
ショルティとウィーン・フィル他の「レクイエム」演奏者たちは大聖堂中央部に祭壇のほうを向いて整列。（よって指揮者は祭壇に背を向けて指揮することになる。）
祭壇前最前列には、元国際連合事務総長にしてオーストリア大統領のクルト・ヴァルトハイム氏らしき姿も見える。
- 入祭挨拶（枢機卿、ドイツ語）
- 回心の祈り（枢機卿、ドイツ語）
- Introitus & KYRIE
- 集会祈願（枢機卿、ドイツ語）
第２部 言葉の儀
- 旧約聖書朗読（祭壇左前の説教台、男性聖職者、ドイツ語）
- SEQUENTIA
- 使徒書簡朗読（説教台、男性聖職者、ドイツ語、「ローマ人への手紙」）
- ハレルヤ唱（説教台から女性先導者が歌い会衆が続く、ドイツ語）
- 福音朗読（説教台、上記２つの朗読よりも高位の男性聖職者、ドイツ語、「ヨハネによる福音書」）
- 説教（説教台、枢機卿、ドイツ語）
- 共同祈願（説教台からハレルヤと同じ女性が先導、会衆も続く、ドイツ語）
第３部 聖体の儀
ここで、パンとワインの準備がされる。
- 奉納祈願（枢機卿、ドイツ語）
- OFFERTORIUM
- 聖別祈祷（枢機卿、ドイツ語）
- 叙唱（枢機卿、ラテン語）
- SANCTUS
- 典文（枢機卿、ラテン語、聖変化の儀）
- 主の祈り（パーテル・ノステル、ラテン語、枢機卿、会衆も唱和）
- 副文（枢機卿、ラテン語）
- AGNUS DEI & COMMUNIO
- （沈黙）
- 拝領祈願（枢機卿、ドイツ語）
第４部 閉祭の儀
- 閉祭の挨拶（ドイツ語）
- 解散（ドイツ語）
カトリックのミサ式次第を知る、もう１つのよい記録としては、カラヤン指揮ウィーン・フィル＆楽友協会合唱団が、サン・ピエトロ大聖堂で挙行された教皇ヨハネ・パウロ２世司式のミサにおいて、モーツァルトの「戴冠ミサ」を演奏したCD及びDVDが発売されている。
