朝比奈隆
（1908〜2001）
略歴
1908年、東京市牛込区の小島家に生まれるが、生後まもなく鉄道院技師の朝比奈林之助の養子となる。
1923年養父が、25年には養母が相次いで死去したため、朝比奈姓のまま生家の小島家に戻る。
養父母の死によって、隆は実父が渡辺嘉一（土木技術者、日本土木史の父）であることを知る。養父の林は彼の部下だった。
私立高千穂中学校から1922年3月に官立東京高等学校（現・東大附属高校）に転入学。
1923年、関東大震災で焼け出され、朝比奈家で同居していた親戚の影響でヴァイオリンの魅力に惹かれ、朝比奈家の祖母から中古のヴァイオリンを買い与えられた。
東京高校では友人と弦楽四重奏団を結成したり、1927年2月20日の新交響楽団（現NHK響）の第1回演奏会を聴いたりもした。
1928年、東京高校を卒業し、京都大学音楽部の指導者であるロシア人指揮者エマヌエル・メッテルの指導を受けることを目指して、京都帝国大学法学部に入学した。京都大学交響楽団に参加しヴィオラやヴァイオリンを担当。指揮をメッテルに師事した。
1931年、京大を卒業し阪神急行電鉄に勤務し、電車の運転士・車掌、百貨店業務などを行った。
しかし改めて京都帝国大学文学部哲学科に学士入学し、一年留年して1937年卒業。卒論は中世音楽史。
この間、1936年2月12日に初めてオーケストラを指揮。このオケが後の大阪フィルとなる。
また1934年から大阪音楽学校（現・大阪音大）に非常勤講師として勤務し、ドイツ語・英語・音楽史・心理学を教えていた。京大文学部卒業後の1937年に教授となった。
1940年1月31日、新交響楽団の演奏会でチャイコフスキー第5番他を指揮してプロデビュー。
1942年からは大阪放送管弦楽団首席指揮者。
1943年11月末、中国大陸に渡り、12月8日の「大東亜戦争二周年記念演奏会」を皮切りに上海交響楽団を指揮。
1944年からは要請を受けて満州へ渡り、満洲映画社長の甘粕正彦と会って、新京交響楽団、ハルビン交響楽団を指揮。同年秋に再び要請され、妻を伴って渡満。
1945年、関東軍嘱託を命ぜられ、満洲全土を演奏旅行。
終戦後は、日本人狩りから匿われつつ1年以上ハルビンに蟄居。この間、中国国民政府の依頼で中国人オーケストラを編成し指導していた。
1946年8月から2ヶ月かけて神戸へと引き揚げた。
大阪音楽学校などに勤務しつつ、1947年4月、のちの大阪フィルの母体となる関西交響楽団を設立。また関西オペラ協会も設立した。
1950年代からはベルリン・フィルや北ドイツ放送交響楽団などに招かれるようになった。
1960年、関西交響楽団を大阪フィルハーモニー交響楽団に改称。同オケの常任指揮者のち音楽総監督となり、死去するまでその地位にあった。
録音
| レーベル | CD番号 | 作曲家 | 曲 | オケ共演 | 録音年 | 録音場所 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Canyon | PCCL-00171
| ベートーヴェン | 交響曲第９番「合唱」 | 大阪フィル、同合唱団 井岡潤子、伊原直子 大野徹也、多田羅迪夫 | 1991/12/29 | フェスティヴァルホール |
| 交響曲第３番「英雄」 | 大阪フィル | 1992/3/29 | シンフォニーホール | |||
| 序曲「レオノーレ」第３番 | ||||||
| 交響曲第５番「運命」 | 1992/4/25-26 | |||||
| 交響曲第１番 | 1992/4/6-8 | フィルハーモニックホール | ||||
| 交響曲第４番 | ||||||
| 交響曲第６番「田園」 | 1992/5/30-31 | |||||
| 交響曲第７番 | 1992/6/27-28 | |||||
| 交響曲第２番 | 1992/8/17-19 | |||||
| 交響曲第８番 | ||||||
| EMI | NDR 10152
| R.シュトラウス | アルプス交響曲 | 北ドイツ放送響 | 1990/3/19、L | Musikhalle Hamburg |
| Altus | ALT 337
| ブルックナー | 交響曲第７番 | 大阪フィル | 1975/10/12、L | 聖フロリアン修道院マルモアザール |
| Canyon | PCCL-00253
| ブルックナー | 交響曲第８番 | 大阪フィル | 1994/7/24、L | サントリーホール |
| Canyon | PCCL-00268
| ブルックナー | 交響曲第９番 | 東京交響楽団 | 1991/3/16、L | オーチャードホール |
| EXTON | OVBC-00004(DVD)
| シューベルト | 交響曲第８番「未完成」 | 大阪フィル | 1999/7/18、L | サントリーホール |
| 交響曲第９番「グレイト」 | ||||||
| EXTON | OVBC-00005(DVD)
| ブルックナー | 交響曲第８番 | 大阪フィル | 2001/7/25、L | サントリーホール |
| Canyon | PCBP-50604(DVD)
| ブルックナー | 交響曲第９番 | 大阪フィル | 2001/9/24、L | シンフォニーホール |
